シルクについて
蚕を育てて繭をとることを「養蚕」といいます。
その歴史は古く、紀元前2500年頃始まったと言われています。
はじめのうち、蚕は中国の宮廷の中だけで、秘密に飼われていたそうです。
文字通り「天の虫」として大切に扱われてきた蚕。
蚕がつくりだす純白の糸は「絹・シルク」と呼ばれ、その魅力はローマまで広まり、
シルクロードとよばれる東西交流ルートを生み出します。
シルクはヨーロッパでも上流階級に好まれ、金と同等に取引される高級素材でした。
日本では、紀元前200年ごろに稲作と共に渡来人によって養蚕が伝えられたとされています。
徐々に全国に養蚕と絹織物の技術が広がり、京都の西陣織や山形の米沢織など、
日本独自の織物を生み出しました。
近代に入ると、生糸輸出は戦後経済の一端を担いましたが、
化学繊維が代用され、生活スタイルの変化と共に生糸の需要は低下しました。
現在では素材研究が進み、紫外線吸収・抗菌作用、酸素・水分透過性や生体適合性など
様々な機能が確認され、再生医療素材としての応用研究が始まっています。
また美容素材としても、コラーゲンやヒアルロン酸をつくりだす
「線維芽細胞」を活性化するという研究結果が出ており、
シルクの可能性に期待が寄せられています。